技術情報

住友電気工業(株)では、1964年に日本で最初の工業用電子線発生装置を設置して以来、
プラスチックの電子線照射技術を基盤にした種々の商品開発、製品化に取り組んできました。

一般的にプラスチックに電子線(高電圧を用いて真空中で加速した電子)を当てると、
架橋(プラスチックの分子間に新たな結合が出来る反応)が起こり、耐熱性の向上、形状の記憶、耐油・耐薬品性の改善といった特性が得られます。

ここでは、弊社開発商品の技術情報をご紹介します。

注意事項

※弊社製品は医療用途等の生命、身体に(直接)関わる特殊な用途を予定して開発・製造された物ではありません。生命、身体に関わる特殊な用途へのご使用を検討される際は、必ずお客様ご自身にて事前にテストを行い、当該用途に使用することの安全性をご確認の上、お客様の責任のもとでご使用ください。

※当サイト上に記載のデータは製品単体での代表値であり、特徴等についても一般的な物性を記載したもので、個々の用途の安全性を保証するものではありません。したがって、ご使用に際しましては安全性につき必ずお客様ご自身で適合評価をして頂く必要があります。また、ご使用にあたり、仮に偶発的または間接的な損害が生じた場合であっても、弊社並びに弊社関連会社はいかなる責任も負いかねますので、何卒ご了承くださいますようお願いします。

※接着剤付きスミチューブ、イラックススリーブの防水性能に関しては、使用条件によって異なる為、使用条件に合わせて防水特性等を確認の上、ご使用をお願いします。

※製品によりましては、保管条件により配合剤がチューブ表面に析出する場合があります。

※主な用途である絶縁保護、機械的保護、結束用途としては明らかな不具合ではありませんが、製品外観に関して、小さな傷や凹凸、汚れ、色相のばらつきが見られる場合があります。固有の外観品質をご要求の場合は別途ご相談ください。

※各々の安全規格に定められた使用条件を遵守して頂きます様お願いします。

※鋭く折れ曲がった箇所や角のある箇所、突起やエッジがある箇所への収縮はチューブが裂ける場合がありますので、ご注意ください。

※当サイトに記載の内容は予告なく変更することがありますので、ご了承ください。

イラックス製品

イラックス製品とは、住友電工ファインポリマー(株)が製造提供する耐熱性樹脂・形状記憶樹脂の総称です。電子線照射により、分子間に架橋結合(三次元網目構造)を持つため、耐熱性、耐液性(耐油・耐薬品性)等に優れた信頼性の高い製品です。

UL、CSA規格品の認定部品表示について

ULおよびCSAの検査員からこれら規格品について認定部品の証を求められた際には、チューブ表面の「マー キング」あるいは、包装材に貼付されている「製品ラベル」をご提示ください。
ULおよびCSAのフォローアップによるRE-EXAMINATION SERVICE方式が採用されていますので、電線等で必要な専用タグが要求されることはありません。

かつてこれら安全規格は、チューブ上に会社名・温度定格等を表示することを義務付けていました。
現在では必要事項ではなくなりましたが、弊社では従来同様これらをチューブ上に表示しております。なお、認定証明としてUL規格品はULホームページでの認定製品一覧の写しが認められていますので、弊社ではこの写しを、CSA規格品については、「CERTIFICATION RECORD(写し)」を準備しております。

難燃グレード「VW-1」について

「VW-1」は、UL224規格およびCSA規格に規定される難燃グレードで、垂直難燃試験に合格する製品に対してのみ認定を受けることが出来るものです。
このグレードは、「ワイヤー(Wire)をチューブに挿入し、垂直(Vertical)に保持した状態で燃焼させた時、1分間(1Minute)以内に消炎すること」が要求されるためにこの名称がつけられています。以前のCSA規格に規定されていました「OFT」規格は、チューブ試験方法がUL224規格と同じになりましたので、グレード名が「VW-1」に変更されております。

なお、難燃グレードとしてUL94規格の「V-0」に関するご質問を承ることがありますが、UL94は「機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験」についての安全規格であり、シート状の試料で難燃性を評価します。当サイトに記載しておりますチューブ状の製品に適用されるものではありません。また、当サイトに記載されている「VW-1」に合格するチューブ関連製品は、「V-0」相当の難燃性を有します。

連続使用可能温度

連続使用可能温度について、安全規格(UL、CSA、SAE-AMS規格等)に準拠する製品は、対応する定格温度の中でも最も高い温度を表示しています。また、住友電工ファインポリマー仕様の製品は、UL規格で規定されている老化条件等を参考に規定しています。なお、内層に接着剤層を設けた製品(接着剤付きスミチューブ、イラックススリーブ)は、外層の材料特性を元に連続使用可能温度を表示しています。高温時に接着剤の溶融により、位置ずれを起こす場合もありますので、ご注意をお願いします。

色相

色相は弊社標準色として独自に設計されており、品種によって色調が異なりますのでご注意ください。なお、一部の品種は安全規格による規定に従っています。

二層構造タイプの特性(防水性)

2本のリード線(PVC)A,Bを接続し、接続部にスミチューブW3Cまたは、スミチューブO2Cを被覆した場合の特性を下表に示します。スミチューブW3F2やスミチューブO2B2も同等の防水特性があります。

内径収縮率

内径収縮率は、次に定義しています。

当サイトに記載の多くの製品は、完全収縮後内径が、収縮前内径の1/2以下になるように設計されており、この場合内径収縮率は50%以上になります。収縮率の値が大きいほど、より収縮する事を意味します。また、内径が1/3以下または1/4以下に収縮する製品も用意しております。

長さ変化率

長さ変化率は
次に定義しています。

例えば、100mm のチューブを完全収縮させて96mmの長さになった場合、長さ変化率は次のように計算して-4%になります。

  長さ変化率(%)=(96-100)/100 × 100= -4%

長さ変化率が「0±5%」の製品では、チューブだけを完全収縮させた場合に、5%だけ縮む状態から5%だけ伸びる状態まで発生する場合があることを示しています。

なお、被覆物の表面状態、チューブと被覆物との隙間の大きさ、加熱温度や時間などの条件により、チューブのみを収縮させた場合(長さ変化率の値)よりもチューブが伸びて被覆されることがありますので、お客様のご使用状況にあわせてチューブの長さを設定くださいますようお願いします。

収縮方法及び収縮時のご注意

被覆対象物の寸法より大きめのサイズのチューブを被せて、次のような方法で加熱しますと速やかに対象物に収縮します。

工業用ドライヤーなどで加熱
被覆物の片端からもう一方の端に、または中心から両端に向かって円周方向に順次加熱収縮させてください。
恒温槽、加熱炉など高温の雰囲気中で加熱
当サイト記載の収縮完了温度は、チューブ自体の温度を示しています。加熱雰囲気温度は、それより20℃~50℃高めが適当です。ただし、対象物の比熱や熱伝導率、雰囲気温度によって温度や時間を調整する必要がありますので、チューブの収縮状態をご確認頂きながら収縮条件を決めてください。
熱水等の高温液体で加熱する場合は、対象物とチューブの間に液体が残留する可能性があります
局部的に加熱した時、対象物表面に突起やエッジがある時、チューブ切断面が不均一で切れ込みや斜め切り等がある時は、亀裂が発生する場合があります。また、対象物の断面形状が円ではなく角状、異形の物でも収縮しますが、凹面には隙間があく場合があります。

二層チューブの収縮および使用時のご注意

接着剤付きの二層チューブを収縮する場合、防水性を確保する目安として、内部の接着剤が溶け出してチューブ端部より十分はみ出す程度まで加熱されることを推奨します。
収縮時に外径の小さい側にずれ落ちたり、曲げなどの外力が加わった場合にチューブがずれてしまい、防水性が損なわれる場合があります。その為、使用条件に合わせて防水特性等を確認の上、ご使用をお願いします。

保管条件と自然収縮

収縮開始温度以下で保管するかぎり自然収縮を起こしませんが、湿度の低い冷暗所で保管されることをお勧めします。また、直射日光は避けてください。スミチューブVは、材質であるポリ塩化ビニルの特性として、概ね40℃付近より収縮を開始する傾向がありますので保管にはご注意ください。

RoHS、ELV 指令の概要及び各製品の適合状況について

RoHS指令とは
正式名を「Restriction Of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment(電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令)」といいます。
EU(欧州連合)が制定した電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限する指令のことです。欧州市場で販売される製品には、本指令施行後一部の例外を除いて規制対象物質を意図して使用、あるいは閾値以上の濃度で含有していることが禁止されます。これらの規制対象物質が閾値以上の濃度で含有していることが発見された場合には製品の回収指令を受ける可能性があります。

施行時期および規制対象物質は下記のとおりです。
規制対象物質 ①鉛、②水銀、③カドミウム、④6価クロム、特定臭素系難燃剤(⑤PBDE、⑥PBB)
施行日 2006年7月1日(EU指令:2002/95/EC)
改正指令公布 2011年7月21日(EU指令:2011/65/EU)
弊社では、RoHS指令への対応を積極的にすすめて参りました。当サイトでは、より明確にRoHS指令への適合状況を示すため、適合済み製品の各見出しに「RoHS対応済み」と表示しています。なお、当サイトに掲載していない製品に関しましても大部分がRoHS指令に適合しますが、品種毎の対応状況については個別にお問い合わせください。
ELV指令とは
正式名を「End of Life Vehicles」(廃自動車に関するEU指令)といいます。
自動車のリサイクル処理を容易にし、廃棄物の削減とその環境への影響の軽減を目的に2000年5月に成立、同年10月に施行されました。
RoHS指令とほぼ同じですが、規制対象物質は特定臭素系難燃剤を除く4種類です。
規制対象物質 ①鉛、②水銀、③カドミウム、④6価クロム
施行日 2000年10月(EU指令:2000/53/EC)

お客様からよくいただくご質問やお問い合わせは 「よくあるご質問」 でもまとめています。 よろしければそちらも御覧ください。